『暗黒武術会』
勝者は己の力を闇の世界に轟かすことができる。
浦飯チームはこの大会にゲストとして招かれた。
幽助 桑原 蔵馬 飛影そして覆面戦士。
コエンマは報告書を見てため息をついた。
「いかがなさいますか?コエンマさま」
彼の秘書を務めるあやめに無言で返して、またため息をついた。
さっきから見物客にからまれてウンザリしていた。さすがに一人でいるのはまずかったかと思い始める。
彼女は目立つ。美しい容姿を持つ彼女。
だが顔に似合わず腕は多少なりとも立つようで丁重にお断りしても引き下がらない輩には実力行使をしている。
「このアマ!調子にのってんじゃねぇぞ!!」
このからんで来た三人組も最初はおとなしく断りをいれていたのに、しつこくついてきて離れてくれない。あんまりベタベタ触れてくるのでつい一人を投げ飛ばしてしまったのだ。
「もういい加減にして。あたし暇じゃないのよ」
だんだんイライラし始めたはさっさと場を離れようとしたが、一人が彼女の手を掴み引き寄せる。
「離して!」
体を回転させみぞおちへ蹴りを入れる。残りは一人。周りにはギャラリーができてこの見世物を楽しんでいるようだ。
誰も助けようとしないのね、とため息をついたその時
「様!?」
ギャラリーの方から聞き慣れた声が飛込んだ。
声の主を探そうと男から目をそらすと、その隙にとばかりに男が襲いかかるがに触れる前に放たれた霊力の固まりに倒された。
――ワアァァァ!!!
三人の男を蹴ちらしたたった一人の少女に歓声が沸き上がった。
「今の声って…」
ギャラリーの間を縫って数人の女性が飛び出してくる。
「やっぱり様!どうしてここに!?」
「ぼたん!!」
「と、とりあえずホテルに戻りましょ。目立ちすぎてるし」
ぼたんの後ろにいた人間の少女がそう言い一同は移動した。もちろん移動中もからんでくる輩は少なくなかったが。
ホテルに着く前には自己紹介が済んでいた。
「でもよく無事だったわね。女だけで。まぁ…」
と、視線は温子と静流に向かう。
「凄いガードがいたからかしら」
「あら、な〜に〜ちゃん」
「あたしらだってかよわい女なんだからさ」
温子と静流は反論するがホテルまでの間、二人がからむ奴らを追い払ったと言ってもいい。
「それより様」
「帰らないわよ」
「うっ………」
二人のやりとりをみながら螢子は傍らの雪菜にささやいた。
「さんてぼたんちゃんがさま付けで呼んでるけど霊界の偉い人なのかな?」
「さぁ…でも上品な感じがしますよね」
ホテルの一室の前に着き、ドアをノックする。
「へいへい…!!雪菜さ〜ん」
「あ、和真さん」
「桑ちゃん、コエンマさまいるかい?」
「おう、みんないるぜ」
答える桑原の目線は見知らぬ人物に向けられていた。
「あんた、誰だ?」
「それは後でね。さ、様」
ぼたんがの手を引き中へ進む。
「コエンマさま!!!」
ぼたんの声に振り向いた彼は一緒にいるを見て口をパクパクさせている。は金魚みたいとその様子を眺めていた。
「「!!!」」
コエンマと幻海がハモる。
「ごきげんよう」
微笑むに明らかに様子の変な二人。
「なんだぁ〜?コエンマもバーサンも知ってんのか?」
桑原が二人を見やり、視線をへ移す。
「帰れ!」
「いや」
「危険だ」
「わかってるわ」
「じゃあ帰れ」
「帰りません」
とコエンマは言い合いを始める。
「師範、彼女はいったい?」
蔵馬がやや落ち着きを取り戻した幻海に尋ねた。
「……彼女は。霊界の閻魔大王の娘だ」
「………つまり彼女は」
蔵馬の声を遮りが叫ぶ。
「いい加減にしてよ!お兄ちゃん!!!」
お兄ちゃん。
つまりコエンマの妹―――……
『妹ぉ―――――――――――――!!?』
いつも我関せずな飛影も面食らっている。
「お前護衛もないじゃないか!危険すぎる!お前に何かあって見ろ。霊界は、いや全世界どうなると思っとるんじゃ!」
「そんなに重要人物なの?」
螢子の問いには幻海が答えた。
「閻魔大王が目の中に入れても痛くない大事な姫君なんだ」
わからない といった顔の螢子に
「やつあたりは大王さまの十八番なんだよ」
ぼたんがため息まじりに教える。
「頼む!帰ってくれ!〜」
泣き落としにかかる兄。
「い・や。あたしだって理由があってここまできたの。帰らない。もう行くわ」
立ち上がるをコエンマは後ろから羽交い絞めにする。
「お兄ちゃん!離して!」
「蔵馬!なんか植物で縛ってくれ!」
兄妹喧嘩をあきれたように見ていた蔵馬が一言。
「無理矢理帰してもまた来ますよ。コエンマが見張るしかないですね」
幻海も続く。
「そうだな。そこの娘たち同様言い出したら聞かんからな」
コエンマは青ざめた顔をしながらうなだれた。